2022 年 83 巻 7 号 p. 1205-1210
目的:鼠径部ヘルニア術後の予約前受診患者について調査し,今後の診療の在り方を検討することを目的とした.方法:2008年1月~2019年3月に手術を施行した鼠径部ヘルニア2,394例を対象とし,退院後初回外来の予約前に受診した176例(7.4%)を予約前受診群,予約日に受診した2,218例(93%)を予約受診群とし,受診理由とその対処法を調査した.また,両群の患者背景,手術成績を比較し,予約前受診のリスク因子を検討した.結果:退院から予約前受診までの日数中央値は5日で,主な理由は疼痛62例(35%),腫脹61例(35%),主な対応は経過観察112例(63%),投薬55例(31%)だった.予約前受診のリスク因子の検討では,手術時間68分以上(OR:1.43,p=0.04),鼠径部切開前方到達法(OR:1.92,p<0.01),合併症あり(OR:3.30,p<0.01)が有意なリスク因子だった.結語:手術時間68分以上,鼠径部切開前方到達法,合併症ありが予約前受診のリスク因子であった.手術時間短縮,合併症低減に加え,退院前の十分な説明と投薬が重要と思われた.