日本臨床外科学会雑誌
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症例
腸管切除を要しTARで修復した正中創分層植皮後の腹壁瘢痕ヘルニアの1例
貝羽 義浩米田 海
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2022 年 83 巻 7 号 p. 1369-1373

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抄録

症例は71歳,男性.2年前にS状結腸癌で腹腔鏡下S状結腸切除を施行したが,合併症のため正中切開で右側腹部に回腸ストーマを造設した.ストーマトラブルのため,このストーマを閉鎖し左側腹部へ再度回腸ストーマを造設したが,正中創感染による筋膜哆開になり分層植皮を施行した.ストーマ閉鎖後,ヘルニア門が20×16cmとなり手術を行った.手術は正中で開腹後,腸管を穿孔させないよう剥離し,分層植皮と癒着して剥離困難な小腸を切除し機能的端々吻合で再建した.その後,両側transabdominis muscle release(TAR)を施行し,heavy weight meshをretromuscularに留置した.術後12日目に退院し術後6カ月を経過したが,再発は認めていない.2箇所のストーマ閉鎖部筋膜瘢痕を合併し,分層植皮後の腹壁瘢痕ヘルニアを小腸切除後にメッシュを用いてTARで修復した症例を報告する.

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