日本臨床外科学会雑誌
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症例
保存的加療で軽快した腹腔内遊離ガス・縦隔気腫を伴う胃気腫症の1例
齋藤 智哉川村 秀樹吉田 拓人小丹枝 裕二三野 和宏
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2022 年 83 巻 8 号 p. 1439-1444

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抄録

症例は64歳,女性.数年前に多系統萎縮症と診断され,気管切開後・胃瘻栄養であった.来院2日前に栄養投与後に気管孔から経管栄養の流出が出現した.来院前日に発熱を認め,肺炎の疑いで入院となった.CTで,胃壁内気腫および腹腔内遊離ガス・縦隔気腫を認めた.腹部症状がなく,CTで虚血を疑う所見を認めず,保存的加療とした.7日後のCTで所見が消失しており,9日後に上部消化管内視鏡検査で粘膜に虚血性変化がないことを確認し,栄養を再開とした.再開後7日目に,気管孔からの流出が再燃した.CTで壁内気腫と門脈ガスを認めたが,再度,保存的加療で軽快した.胃気腫症は,その多くが保存的加療で予後良好な経過をたどっている.腹腔内遊離ガスや門脈内ガス・縦隔気腫は消化管穿孔や腸管虚血を示唆する所見であるが,腹部症状を認めない場合には,手術を回避できることもある.画像所見だけではなく,全身状態や理学所見も含めた判断が重要である.

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