日本臨床外科学会雑誌
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症例
待機的手術を行った腸管気腫・門脈気腫を伴う傍上行結腸窩ヘルニアの1例
高須 香吏後藤 貴宗林 征洋橋本 晋一
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2022 年 83 巻 8 号 p. 1496-1500

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抄録

症例は59歳,男性.5日間継続する腹痛,嘔吐のため受診した.前日に普通排便があった.バイタルサインに問題はなく,腹部全体の膨満と軽度圧痛を認めたが,腹膜刺激症状は認めなかった.血液検査では腎機能障害と炎症反応の上昇を認めた.CTでは小腸イレウスが認められ,右上腹部に閉塞機転が疑われた.腸管気腫と肝内外門脈気腫を認めたが,腹水は認めなかった.イレウス管での減圧と補液で腎機能,炎症反応は改善し排便排ガスもみられたが,小腸の拡張が残存するため手術を行った.Richter型傍上行結腸窩ヘルニアを認め,解除術を行った.小腸に壊死所見はなく切除は不要だった.腸管気腫と門脈気腫を伴う傍上行結腸窩ヘルニアに対し,待機的手術を行った1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

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