抄録
菌床栽培によるきのこ生産では使用済み菌床(廃菌床)が大量に排出され,廃菌床の廃棄方法や費用が生産者の課題となっている.本研究では土壌還元消毒(RSD)の有機資材として廃菌床を利用することを検討した.エノキタケ,シイタケ,ブナシメジ廃菌床を用いたRSDは有効な土壌還元を示した.エノキタケ廃菌床を使用したRSDでは,RSDに利用される代表的な有機物の小麦フスマを用いた場合と比べ,発生する悪臭が軽減された.廃菌床を用いたRSDにより汚染土中の青枯病細菌,つる割病菌や萎凋病菌の菌密度が有意に低下した.汚染圃場で廃菌床を用いたRSDにより,トマト自根苗における青枯病の発病が遅延し,接木苗では発病が抑制された.さらに,RSD処理土壌で栽培したホウレンソウ苗では萎凋病の発病を有意に抑制した.本研究では廃菌床はRSDの有望な有機資材であり,廃菌床を用いたRSDは土壌病害を効果的に防除できることを示した.