2023 年 84 巻 2 号 p. 265-268
がん遺伝子パネル検査が治療方針の決定に寄与した1例を経験したので報告する.59歳,女性.左乳房の湿疹を自覚し前医を受診,皮膚浸潤を伴う左乳癌が疑われ紹介となった.精査にて右乳腺にも乳癌が認められ,両側乳癌と診断された.右側が浸潤性乳管癌 cT1N1M0 stage II A (Luminal HER),左側が浸潤性乳管癌 cT4N3M0 stage III C (Luminal)であった.ここで化学療法(ドセタキセル+ペルツズマブ+トラスツズマブ)を施行したところ,腫瘍縮小を認めたために手術に至った.術後1年,頸椎および胸椎に骨転移再発を認めたために治療を変更,その後6カ月目に肝転移が認められた.そこで,肝生検を行いサブタイプの再確認のうえで,再度治療を変更した.治療効果を認めたが,有害事象のため約6カ月で継続困難となった.ここで,がん遺伝子パネル検査 (FoundationOne®)を行ったところ,BRCA2遺伝子の生殖細胞変異が確認された.本検査については,新たな治療の可能性につながるために積極的に実施するのが望ましいと考えられた.