2023 年 84 巻 2 号 p. 281-287
症例は53歳,男性.曖気を主訴に,近医で上部消化管内視鏡検査を施行されBarrett食道腺癌と診断され,当科を受診となった.超音波内視鏡検査で深達度はSM深部,リンパ節転移や遠隔転移は認めず,Barrett食道腺癌,AeLt,cT1b,cN0,cM0,cStage Iとして手術治療の方針となった.並存疾患に高度肥満(BMI 34),慢性腎不全,2型糖尿病を持ち,ハイリスク症例としてロボット支援下の二期分割手術を計画した.一期目手術ではロボット支援下食道亜全摘術,胃瘻造設,頸部食道外瘻造設を行った.術後合併症は認めず,初回手術1カ月後に二期目手術としてロボット支援下胃管作成,胸骨後経路胃管再建,頸部食道胃管吻合を施行した.術後,頸部食道胃管吻合部の縫合不全を認めたが,保存的に軽快し術後30日目に退院した.高度肥満,慢性腎不全を伴うハイリスク食道癌において二期分割手術とロボット支援下手術を導入することで,安全に治療を施行できた症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.