日本臨床外科学会雑誌
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症例
保存的治療で軽快した空腸憩室炎穿通による腹腔内膿瘍の1例
大河原 一真渡邉 雄介中山 宏道植木 隆大城戸 政行
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2023 年 84 巻 2 号 p. 299-304

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抄録

小腸憩室はまれであり,その多くが無症候性であるが,時に憩室炎などの症状を呈する.空腸憩室炎の穿通や穿孔により腹腔内膿瘍や腹膜炎を生じた場合には,外科的治療が選択される場合が多く,保存的治療で軽快した報告は少ない.今回われわれは,保存的治療で軽快した小腸憩室炎による腹腔内膿瘍の症例を経験した.症例は70歳の女性で,発熱と左下腹部痛を主訴に当院を受診した.CTで多発空腸憩室を認め,軽度の壁肥厚と造影効果を伴う空腸憩室を一つ認めた.この憩室に接した腸間膜内にairを伴う液貯留と脂肪織混濁を認めた.空腸憩室炎の穿通による腹腔内膿瘍・限局性腹膜炎と診断した.全身状態が安定しており,腹部症状も限局していたため保存的治療を選択し,軽快した.本症例や過去の報告からは,発症後早期に正確に空腸憩室炎穿通の診断がなされ,全身状態が安定している場合には,保存的治療も選択肢になりうると思われた.

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