日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃壁内に転移した胃リンパ球浸潤癌の1例
吉岡 尚子豊田 和宏坂下 吉弘小林 弘典宮本 勝也谷山 清己
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2023 年 84 巻 4 号 p. 579-583

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抄録

症例は70歳,男性.動悸,ふらつき,黒色便を主訴に受診し,上部消化管内視鏡検査で胃体上部大彎後壁に3型進行癌を,胃体中部前壁に0-IIc型胃癌を認めた.さらに,胃体中部小彎後壁に粘膜下腫瘍様の病変を認め,リンパ節による壁外性圧排の可能性が疑われた.多発胃癌に対し,胃全摘・D2+No.10リンパ節郭清,脾臓・胆囊摘出術を施行した.病理組織診断では3型病変と0-IIc型病変ともに胃リンパ球浸潤癌で,胃粘膜下腫瘍は壁内転移と診断された.壁内転移は局所転移と判断し,進行度はpT3N2M0,pStage IIIAとした.術後補助化学療法を施行し,術後1年1カ月現在,無再発生存中である.胃癌に壁内転移を伴う場合,広範囲な胃切除を検討する必要があるが,粘膜下層腫瘍様の病変を呈することがあり術前診断は難しい.胃癌の壁内転移症例は報告が少なく,さらに原発巣がリンパ球浸潤癌である症例は非常に稀であり,文献的考察を加えて報告する.

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