2023 年 84 巻 4 号 p. 641-646
症例は79歳,女性.慢性貧血を認め,原因精査目的に内視鏡検査を施行し十二指腸第2部,乳頭部より約2cm口側に10mmほどの腫瘤を指摘され,精査目的に紹介となった.副乳頭部に存在している腫瘍であり,正常副乳頭は確認できなかった.腫瘍からの生検ではadenocarcinomaが疑われる所見であった.画像上は遠隔転移や周囲リンパ節転移を疑う所見を認めなかったため,亜全胃温存膵頭十二指腸切除を行った.術後は胃内容排泄遅延により長期の胃管留置が必要であったが自然軽快し,術後54日目に退院となった.病理結果は低分化管状腺癌の診断で膵実質への浸潤を認めたが,リンパ節転移は認めなかった.術後腸閉塞にて入院歴はあるが,70カ月経過し再発は確認されていない.十二指腸副乳頭部の腫瘍は珍しく,神経内分泌腫瘍などの良性腫瘍が比較的多く報告されているが,副乳頭部癌の報告例は極めて稀である.近年内視鏡治療例などの報告も散見され,文献的考察を加えて報告する.