2023 年 84 巻 4 号 p. 653-658
症例は84歳,女性.上腹部痛と嘔吐を主訴に救急外来を紹介受診.腹部単純X線にて左外側へ圧排される胃泡と胃小彎側領域に拡張した小腸を認め,単純CTでは胃と肝臓に囲まれた領域に,niveauを形成する小腸を認めた.網囊ヘルニアによる絞扼性イレウスが疑われ,同日緊急手術を施行した.拡張した小腸は小網の異常裂孔をヘルニア門とし,胃の背側から腹腔へ向かって脱出し絞扼されていた.小網を切開し小腸の絞扼を解除した.小腸は大網の異常裂孔から網囊に入り,胃の背側から小網の異常裂孔を通り脱出しており,大網小網裂孔網囊ヘルニアと診断した.経時的に小腸壁の色調等の改善を認めたため,整復のみとした.
高齢の大網小網裂孔網囊ヘルニアの1症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.