2023 年 84 巻 5 号 p. 764-768
症例は44歳の女性で,1年前から臍部の皮下腫瘤を自覚しており近医にて低エコー腫瘤像を指摘され,精査加療目的に当科へ紹介となった.当初,尿膜管嚢胞と考え精査目的に腹部CTを施行したところ,虫垂に多房性嚢胞性腫瘤を認めた.臍部粉瘤および低異型度虫垂粘液性腫瘍(low-grade appendiceal mucinous neoplasm;以下,LAMNと略記)の術前診断で腹腔鏡手術を行った.虫垂腫瘍は一部破裂しており,回盲部周囲に限局したゼリー様腹水の貯留を認めた.腹水の散布を防ぐ目的に周囲腹膜で覆うような形で回盲部切除を行った.病理所見ではLAMNおよび臍部嚢胞を含め腹膜偽粘液腫(pseudomyxoma peritonei;以下,PMPと略記)の診断であった.術後補助化学療法を施行し,現在術後1年4カ月無再発経過中である.極めて稀な同時臍転移を伴うPMPの1例を経験したので,文献的考察を含め報告する.