2023 年 84 巻 6 号 p. 952-956
症例は77歳の男性.排尿困難・右腰背部痛を主訴に他院を救急受診し,右鼠径ヘルニアと診断され,加療目的に当科へ紹介となった.CT所見で右外鼠径ヘルニアを認め,右陰嚢まで膀胱が脱出し右尿管も牽引され右水腎症を呈していた.また,ヘルニア嚢内には回腸も脱出していた.今回われわれは,本症例に対して手術開始前に尿管ステントを留置の上,TAPP(transabdominal preperitoneal repair)法を施行した.術後6カ月,排尿障害も改善し再発なく経過している.鼠径部膀胱ヘルニアは成人鼠径ヘルニアの1-4%に認められると報告されている.尿管まで脱出し水腎症を合併した症例報告は稀である.これまでに尿管まで滑脱した鼠径部膀胱ヘルニアをTAPP法で手術した報告はなく,文献的考察を加えて報告する.