2023 年 84 巻 6 号 p. 962-966
症例は85歳,女性.遷延する腹痛・嘔吐を主訴に,前医でのCTにて右閉鎖孔ヘルニア嵌頓と診断され,紹介となった.非観血的用手圧迫にて容易に整復でき,直後のCTにて整復と明らかな消化管穿孔などを疑う所見のないことを確認した.整復後3日目に腹痛が出現し,CTにて腹腔内遊離ガスを認めた.穿孔性腹膜炎と診断し,開腹下に創汚染対処のもと小腸部分切除および正中創から腹膜前腔を剥離し,ダイレクトクーゲルパッチ®にてヘルニア修復術を施行した.閉鎖孔ヘルニア嵌頓の非観血的整復については,緊急手術を回避でき術前精査を進められるなどの利点があるが,整復時の嵌頓部腸管の虚血穿孔のリスクが常にあり,非観血的整復における適応については一定の見解が得られていない.また,非観血的整復後の遅発性腸管穿孔についての報告はなく,文献的考察を加え報告する.