2023 年 84 巻 6 号 p. 967-974
症例は68歳,女性.1カ月前からの右下腹部痛・右下肢痛が増強し,歩行障害を認めたため近医を受診.腹部CTにて骨盤底ヘルニアが疑われ,当科を紹介受診となった.腹部CTで右坐骨孔から脱出する小腸を認め,大坐骨孔ヘルニアと診断した.腸閉塞の合併は認めなかったが,坐骨神経痛を伴っていたことから,嵌頓の可能性を考えて緊急手術を行った.開腹すると右坐骨ヘルニアを認めたが,既に小腸嵌入は解除されていた. 腸管壊死所見はなく,小腸切除は行わなかった.ヘルニア門を単純縫合にて閉鎖した.術翌日,右下肢痛は消失しており,坐骨神経障害は改善していた.坐骨ヘルニアは極めて稀なヘルニアであり,小腸嵌入を伴う症例は14例しか報告されておらず,その中でも坐骨神経痛を伴う症例は4例のみである.今回の症例に若干の文献的考察を加えて報告する.