日本臨床外科学会雑誌
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症例
膿瘍を生じた乳腺の被包型乳頭癌の1例
栗原 亜梨沙俵矢 香苗柳本 邦雄
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2023 年 84 巻 7 号 p. 1015-1019

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抄録

症例は82歳,女性.左乳房腫瘤と出血を認め,当院へ紹介受診となった.左乳房内側上部に7cmの発赤を伴う硬結と左乳輪に3mm大の皮膚瘻を認め,淡血性の排液がみられた.臨床所見から乳輪下膿瘍を疑い,発赤部位を切開し膿瘍を排出した.抗菌薬内服と創部の処置を継続し,炎症所見が改善した後に画像検査を施行した.乳房超音波検査では47mm大の嚢胞内に広基性の充実性部分を認めた.乳房造影MRIでは,左乳頭下に嚢胞性腫瘍と,周囲に不均一な信号上昇を認め,周囲組織への炎症の波及が疑われた.嚢胞内の充実性部分に対してエコーガイド下吸引式組織生検を施行し,乳癌の診断となった.全身麻酔下で外科的手術を施行した.術後病理結果は被包型乳頭癌であった.乳房膿瘍が40歳以上の比較的高齢の女性にみられる場合には,乳癌を伴う可能性も考慮し治療,検査を行う必要がある.今回,被包型乳頭癌に膿瘍を生じた乳癌の1例を経験したため,文献的考察を加え報告する.

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