2023 年 84 巻 7 号 p. 1020-1025
胸腔鏡下食道切除術中にシングルルーメンチューブが原因で気管膜様部損傷をきたし,胸腔鏡下で直接縫合を行った症例を経験したので報告する.症例は45歳,女性.胸部中下部食道癌の診断で,シングルルーメンチューブ,ブロッカーカテーテル使用による分離肺換気下に完全腹臥位胸腔鏡下食道切除術を施行,術中に気管膜様部の損傷を確認した.麻酔科医師により,気管チューブを先進し十分な呼吸管理下で胸腔鏡下に直接縫合し,ポリグリコール酸シートとフィブリン糊で被覆して修復を行った.術後第6病日に気管支鏡で閉鎖を確認,術後第8病日に抜管した.術後第12病日に急性腹症で人工呼吸器管理の上で全身麻酔下に試験開腹術を施行したが,気道に問題はなかった.シングルルーメンチューブによる挿管操作であっても気管損傷を生じる可能性があること,麻酔科と連携して十分な呼吸管理により修復は可能となることを念頭に置く必要がある.