2023 年 84 巻 7 号 p. 1038-1042
症例は46歳,女性.2022年8月に他院の胸部単純CTで偶発的に縦隔上部に腫瘤性病変を指摘され,当科を紹介受診した.左総頸動脈,鎖骨下動脈を前後から挟み込むように2つの腫瘍が存在する稀な画像所見であった.9月の経気管支生検の結果は神経鞘腫であり,現状であれば低侵襲に切除し得ると判断してロボット支援下手術の適応とした.副半奇静脈の頭側で迷走神経の近傍に隆起する2つの腫瘍を認め,神経を温存しつつ被膜下切除を行った.さらに,頭側に小さな腫瘍を認め,最終的には3つの数珠状に連なる腫瘍が近接して存在していたと判断し,同様に切除した.摘出標本の病理診断はいずれも神経鞘腫で,悪性所見は認めなかった.皮膚病変や聴神経腫瘍はなく,家族歴もないため,多発性神経鞘腫症と診断し経過観察中である.文献的考察を加え報告する.