2023 年 84 巻 7 号 p. 1043-1047
症例は75歳の男性で,胸部下部食道癌に対し,縦隔鏡下食道亜全摘術,3領域リンパ節郭清,胸骨後経路胃管再建術,腸瘻造設術を施行した.術後1日目より腸瘻から経腸栄養を開始し,縫合不全を発症したため徐々に投与量を増やしていた.術後20日目に強い腹痛が出現し,造影CTで門脈ガス血症と腸管気腫を認め,腸管壊死を疑い緊急手術を施行した.明らかな虚血所見なく,試験開腹で終了となった.術後5日目より経腸栄養を再開するも,再燃なく経過し退院した.経腸栄養に伴う門脈ガス血症,腸管気腫症は稀な合併症であり,本邦ではあまり広く知られていない.今回,われわれは食道癌術後に門脈ガス血症・腸管気腫症を発症した1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.