2023 年 84 巻 7 号 p. 1048-1053
症例は48歳の女性.以前から自覚する腹痛の増悪があり,当院に救急搬送された.腹部造影CTで胃前庭部に壁在膿瘍を認めた.入院での抗菌薬による保存治療で改善した.症状改善後の上部消化管内視鏡検査で異所性膵が疑われ,壁在膿瘍の原因と考えられた.その後症状の再燃を認め,画像上も膿瘍の完全な消失が得られなかったため,手術方針とした.幽門輪に近く,壁在膿瘍の影響で病変の境界が不明瞭なことから,腹腔鏡補助下幽門側胃切除術を施行した.有症状の異所性膵は手術適応であるが,自験例のように幽門輪に近接し,壁在膿瘍の広がりを伴う場合は幽門側胃切除術を含めた慎重な術式選択が,肝要であると考えられた.