2023 年 84 巻 7 号 p. 1076-1083
症例は70歳,女性.肝右葉の単純性囊胞に対して腹腔鏡下肝囊胞開窓術を施行した.手術の7カ月後に肝囊胞出血を発症し,当院へ転院となった.囊胞が増大傾向にあり血管造影検査を行ったところ,右肝動脈後区域枝末梢から囊胞内に造影剤漏出像を認めた.前医CTで肝S8ドームと横隔膜下にも出血像があり,肝囊胞全体への動脈を塞栓する目的で,胆囊動脈より末梢の右肝動脈とA4,右横隔膜下動脈に塞栓術を行った.その7時間後に急激な血圧低下をきたしたため,塞栓術が不十分であったと判断し,再度血管造影検査を行い胆囊動脈まで含めた右肝動脈に対しコイル塞栓を行い,その後胆囊摘出術と囊胞開窓術を行った.しかし,囊胞の再増大と貧血の進行を認めたため,最終的に根治的に囊胞切除術を行った.外来で経過観察中であるが,囊胞切除後1年間再発を認めていない.肝囊胞開窓術後に遅発性囊胞出血をきたし出血性ショックを伴った稀な1例を経験したので報告する.