症例は39歳,男性.人間ドックの腹部超音波で腹腔内腫瘤を指摘され,当院を紹介受診となった.CTで左副腎頭側の後腹膜に115×82mmの境界明瞭で内部に充実成分と嚢胞成分が混在する腫瘤を認め,胃噴門・脾臓・膵尾部・左副腎と接し,PET-CTで充実成分にFDG集積を認めた.経胃的な超音波内視鏡で穿刺組織診を行い,免疫染色で中皮細胞由来の良性腫瘍が疑われたが,悪性の可能性を否定できず手術の方針とした.開腹し,腫瘤摘出を施行した.摘出検体の組織診では悪性所見は認めず,嚢胞状の形態が目立つ点から良性多嚢胞性腹膜中皮腫と診断した.良性多嚢胞性腹膜中皮腫は良性腫瘍であるが,長期的には腹腔内に再発する可能性があり継続的な画像検査が必要である.過去の文献では大網などに発生することが多いとされており,後腹膜に発生した報告例は少ない.本症例では術前に穿刺組織診を行ったが,PET-CTで高度なFDG集積を認めており,術前診断で良性腫瘍と確定することは困難であった.