2021 年 77 巻 5 号 p. II_25-II_36
本研究では,腐食した鋼橋における取替または補強部材として開発したハイブリッドFRP引抜成形山形材の圧縮耐荷力特性を明らかにすることを目的として,対象山形材の圧縮耐荷力実験および圧縮耐荷力解析を実施し,弱軸回りまたは強軸回り回転自由の境界条件のもと,対象山形材の局部座屈および全体座屈性状を把握し,圧縮耐荷力の基礎データを取得した.全体座屈が支配する長柱領域において,強軸回り回転自由の条件では,強軸回りの曲げとねじれが連成する曲げねじれ座屈モードとなり,弱軸回り回転自由の条件では,弱軸回り曲げの全体座屈となった.短柱領域では,どちらの境界条件でも局部座屈が圧縮強度を支配した.それらの結果から,対象山形材の耐荷力曲線は,局部座屈強度と弱軸回りの全体座屈強度をもとに作成できる可能性が明らかとなった.