日本臨床外科学会雑誌
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症例
5年8カ月無再発生存中の腹腔内破裂未分化多形肉腫の1例
坂元 竜馬寺下 勇祐織畑 光一下里 あゆ子奥田 純一
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2024 年 85 巻 2 号 p. 278-283

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抄録

未分化多形肉腫(undifferentiated pleomorphic sarcoma:以下,UPS)は局所再発を生じやすい予後不良な悪性腫瘍であり,UPSの腹腔内破裂は稀である.今回,腹腔内破裂を呈したUPSおよびその局所再発に対し,繰り返し肉眼的根治切除を行うことで長期生存を得た1例を経験した.症例は42歳の男性で,1カ月続く腹部膨満感およびその後生じた腹痛・背部痛のため当院へ搬送された.腹部CTでは右側腹部を中心に小児頭大の腫瘤を認め,MRIでは腫瘍内出血を示唆する所見が見られた.貧血の進行も認めたため,開腹での腫瘍摘出を行った.後腹膜原発UPSの診断で外来フォローを行っていたが,術後4カ月の腹部CTで再発を指摘され,再度根治切除を実施した.その後,腹腔内再発を2度繰り返し,その度に手術を施行した.初回手術から5年現在,無再発生存中である.UPSの腹腔内破裂は珍しく,早期再発の原因にもなりうるが,切除しうる限りの切除と綿密な経過観察が長期生存に寄与しうることが示唆された.

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