2024 年 85 巻 4 号 p. 504-509
Cowden症候群はPTEN遺伝子の生殖細胞系列の病的バリアントが原因で,全身に過誤腫性病変が多発し,その約30%に乳癌を合併する.今回,乳癌の発症を契機にCowden症候群と診断された1例を経験したので報告する.症例は34歳,女性.近医で左乳癌と診断され当科に紹介された.乳癌の家族歴あり,弟とその児がCowden症候群と診断されていたため,PTEN遺伝学的検査を施行したところ同じ病的バリアントを認めた.また,甲状腺腫瘍摘出術の既往や,巨頭症,食道グリコーゲンアカントーシス,多発脂肪腫,大腸ポリープを認めたことから診断基準を満たし,Cowden症候群と診断した.Cowden症候群の拾い上げには,家族歴・既往歴に加え頭囲計測や帽子のサイズの聴取が有用である.また,本症例は受精胚凍結保存したが,遺伝性腫瘍では妊孕性温存には十分な情報提供と意志決定支援が重要である.