2024 年 85 巻 4 号 p. 510-516
症例は80歳,女性.食欲低下と上腹部痛を主訴に受診した.CTで肝外側区域に早期濃染とwashoutを呈す15cm大の腫瘍を認めた.上部消化管内視鏡検査で幽門前庭部に3型腫瘍を認め,生検で腺癌が検出された.胃癌と肝細胞癌の重複癌の診断で,幽門側胃切除術と肝外側区域切除術を二期的に施行した.胃の病理組織学的診断では,合胞体栄養細胞様の細胞の混在と,免疫染色でhCGに陽性を示す細胞を認め,絨毛癌と診断した.肝腫瘍の病理組織像も胃病変と同一であり,胃原発絨毛癌(PGC)の肝転移と診断した.術後S-1単独療法を開始したが,術後12カ月で肺転移が出現した.逐次化学療法を行い,術後32カ月の現在,四次治療としてニボルマブ単独療法を行い担癌生存中である.
PGCの同時性肝転移例は極めて予後不良であるが,治癒切除に加え一般型胃癌に準じた化学療法を施行することで,予後の改善が期待できると考えられた.