2024 年 85 巻 6 号 p. 755-760
症例は78歳の男性で,上腹部痛を主訴に前医を受診した.CTで上行結腸憩室炎が疑われ保存加療を行うも改善なく,精査加療目的に当科に紹介となった.下部消化管内視鏡検査で回盲部直上に全周性腫瘍性病変を認め,スコープは通過不可能であり,生検結果は低分化腺癌であった.CTで腸管近傍リンパ節が軽度腫大していたが明らかな遠隔転移は認めず,右半結腸切除術D3郭清を施行した.病理組織学的検査では辺縁に少量の中分化型管状腺癌を伴う低分化腺癌非充実型であり,内部では核小体の明瞭な偏在性の核と好酸性封入体を有した所謂rhabdoid featureを呈する腫瘍細胞を認めた.免疫組織化学染色で胞体にvimentin陽性の沈着物を認め,CK7は一部陽性,CK20は陰性であり,以上からrhabdoid featureを伴う上行結腸低分化型腺癌と診断した.術後補助化学療法は行わず1年6カ月経過し無再発生存である.大腸癌にrhabdoid featureを伴うことは稀であり,文献的考察を加えて報告する.