日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
原著
公法人立重症心身障害児施設入所者の個人チェックリストによる実態調査
第Ⅲ報:日常生活活動
三田 勝己三上 史哲三田 岳彦岡田 喜篤末光 茂江草 安彦
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2014 年 39 巻 1 号 p. 79-92

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抄録
本研究は「個人チェックリスト」の日常生活活動(排泄6項目と食事6項目)を取り上げ、大島の分類1~4に属する定義上の重症心身障害児(者)を対象として、排泄および食事の機能障害、活動制限、環境因子の横断的な実態と経年変化を解明することを目的とした。排泄では、尿意・便意がない人たちが30%、明確でない人たちが50%存在した。排泄の知らせが困難な人たちは約80%を占め、それは尿意・便意の機能障害に因るのみならず、尿意・便意を伝える表出技能に困難があるためと推察した。排泄の介助は多数が全介助を必要とし、その割合は経年的に増加した。食事の摂食機能では口の開閉、咀嚼、嚥下の困難な人たちがそれぞれ約50%、75%、60%にみられた。摂食方法は25%の人たちがスプーンを使って何とか食べることが可能であったが、70%弱は自分で食事ができない人たちであった。食事の介助は75%の人たちが全介助であり、なんらかの介助を含めるとほぼ全員に必要であった。食の形態は30%余りの人たちがきざみ食であり、経管栄養食、ミキサー食、軟飯軟菜、普通食もそれぞれ約15%の人たちに提供されていた。また、経管栄養食の人たちが経年的に増加する傾向がみられた。本研究結果は、重症心身障害児(者)の障害が運動機能や知的機能のみならず、排泄、食事の機能障害や活動制限にも及んでいる実態を明らかにした。
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© 2014 日本重症心身障害学会
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