日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前に診断し腹腔鏡補助下に切除した成人大網リンパ管腫の1例
神馬 真里奈中嶋 健太郎佐久間 淳橋本 浩次森川 鉄平野家 環
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2024 年 85 巻 6 号 p. 795-800

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抄録

成人に発症した稀な大網リンパ管腫の1例を報告する.症例は30歳,女性.数カ月持続する腹痛・嘔気を主訴に当院を受診した.上下部消化管内視鏡検査で異常を認めなかった.CTで骨盤内に長径80mm大,造影増強効果や充実成分を認めない内部均一な囊胞を認めた.囊胞は右胃大網動静脈およびその分枝と接し,頭側端は胃壁に接しており,大網由来と考えられ,大網リンパ管腫が疑われた.有症状であり,腹腔鏡補助下に胃部分切除を併施した囊胞摘出術を施行した.術後に症状は消失した.免疫組織化学的染色を含む病理学的検索で,大網リンパ管腫と診断した.腹腔内リンパ管腫は,茎捻転・感染などの重大な合併症を引き起こす可能性があり,外科切除が推奨される.大網リンパ管腫は周囲臓器と癒着していることは少ないため,腹腔鏡手術のよい適応と考えられる.

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