2024 年 85 巻 8 号 p. 1099-1105
症例は48歳,男性.来院前日から下腹部痛と粘血便を認め,近医より紹介となった.腹部造影CTを施行したところ,脾弯曲部にtarget signと口側の腸管に多数の壁内気腫を認め,腸管囊腫様気腫症(pneumatosis cystoides intestinalis:PCI)に伴う腸重積を疑った.重積した腸管壁の造影不良と腹腔内遊離ガス像から,同部での消化管穿孔の可能性を考慮して緊急手術の方針とした.開腹すると含気性囊胞を伴う横行結腸と脾弯曲部で重積した腸管を認めた.用手的整復は困難であったため,含気性囊胞を残存させないように結腸部分切除術を施行した.切除腸管には微小穿孔を認め,病理組織学的にPCIに矛盾しない所見であったため,PCIに伴う腸重積による消化管穿孔と診断した.第11病日に退院し,術後1年間無再発で経過している.PCIを契機に発症した腸重積は右側結腸に多いとされるが,左側結腸で重積し穿孔した稀な症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.