2024 年 85 巻 9 号 p. 1225-1231
症例は39歳,男性.CT画像上腹膜転移および肝浸潤を伴うcStage IV進行胃癌に対して化学療法(S-1+oxaliplatin 4サイクル)後に審査腹腔鏡,根治的胃全摘術および肝部分切除術を施行した.病理組織診断でypT4b(HEP)N2M0 ypStage IIIBであり,術後補助化学療法を施行した.術後3カ月目から増大傾向を認める左頸部腫瘤を自覚するようになり,針生検で胃癌の孤立性胸鎖乳突筋転移再発と診断した.放射線療法後に化学療法を施行し,治療開始後10カ月で治療効果はpartial responseであった.他部位に再発病変を認めず,頸部の動作制限も出現したため左胸鎖乳突筋転移巣摘出術を施行した.病理組織検査で断端陽性であり,術後化学療法,免疫チェックポイント阻害薬の薬物療法を施行したが,残存病変の増大と症状増悪を認めたためbest supportive careの方針となり,再発から17カ月目に死亡した.
胃癌の孤立性骨格筋転移は非常に稀であり確立した治療法はないが,本症例の様に集学的治療の継続によって延命とQOL維持に寄与すると考えられる.