2025 年 86 巻 1 号 p. 52-56
症例は82歳,女性.腹痛を主訴に前医を受診し,腸閉塞を疑われて当院へ紹介された.11年前に絞扼性腸閉塞に対して小腸部分切除・機能的端々吻合を施行された.また,前回術後から正中創部の腹壁瘢痕ヘルニアを認めていたが,無症状であり経過観察となっていた.腹部CTで小腸吻合部の囊状の拡張と内容物の停滞,口側の腸管の拡張を認めた.腸閉塞と診断し保存加療としたが,症状の改善に乏しく入院4日目に手術の方針とした.術中所見で吻合部の囊状拡張と漿膜面の炎症性変化があり,吻合部切除・デルタ吻合を行った.同時に腹壁瘢痕ヘルニア修復を行った.以降10カ月経過するが,腸閉塞の再発はない.小腸の機能的端々吻合部の囊状拡張は稀だが晩期合併症として留意し,有症状時には手術も検討する必要がある.