2025 年 86 巻 1 号 p. 77-83
症例は62歳,男性.便秘を主訴に近医を受診し,直腸診で肛門管直上に腫瘤を認め,生検でGISTと診断された.50mm大の腫瘍は前立腺,肛門挙筋に接しており,イマチニブによる術前治療後の手術を計画した.6カ月間のイマチニブ投与により腫瘍は39mmに縮小し,前立腺および肛門挙筋との境界も明瞭となったため,taTMEを併用した腹腔鏡下低位前方切除術を施行した.腫瘍は被膜損傷なく完全切除され,病理学的には生検検体と比較し著明な細胞密度の低下を認めた.術後1年3カ月,局所再発および遠隔転移を認めていない.直腸GISTは比較的腫瘍径が大きく,狭い骨盤腔内での手術は非常に難度が高いため,拡大手術が行われる場合も多い.術前イマチニブ治療とtaTMEにより,合併症および後遺症なく完全切除しえた直腸GISTの1例を経験したので報告する.