日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
多発性内分泌腫瘍症1型に合併した胸腺異型カルチノイドの1例
文野 裕二郎田村 昌也岡田 浩晋宮崎 涼平山本 麻梨乃
著者情報
ジャーナル フリー

2025 年 86 巻 10 号 p. 1306-1310

詳細
抄録

症例は70歳,男性.咳嗽と喀痰を主訴に近医を受診した.近医で撮影したCTで前縦隔腫瘍を指摘され,当施設に紹介となった.胸腺上皮性腫瘍が疑われ,周辺に縦隔リンパ節の腫大も認めた.剣状突起下,両側胸腔鏡,頸部アプローチで胸腺摘出術を施行した.病理診断は胸腺異型カルチノイドで,縦隔リンパ節転移と被膜を越え縦隔脂肪織内への浸潤を伴っていた.術後放射線治療を施行したが,術後3年で肺転移と胸膜播種を認めた.その後,がん遺伝子パネル検査でMEN1遺伝子変異を認めた.エベロリムスを使用したが奏効せず,現在も全身化学療法を行っている.胸腺カルチノイドは比較的稀ではあるが,予後不良な疾患である.MEN1を20~25%に合併するとされており,MEN1に関連する疾患を発見した際にはMEN1を念頭に置き,胸腺カルチノイドの早期発見が重要である.

著者関連情報
© 2025 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top