2025 年 86 巻 10 号 p. 1301-1305
症例は38歳,女性.双胎妊婦であり経腟分娩を予定していた.妊娠33週に右胸部痛を主訴に当院の救急外来を受診した.胸部X線で高度の右気胸と診断され,胸腔ドレナージ後に入院となった.入院後も空気漏れが続いたため手術が必要と考えられた.妊娠36週まで保存的加療を継続し,帝王切開での分娩を先行させた後に気胸手術を行うことを提案したが,患者は胸腔ドレーン留置による疼痛・精神的ストレスが強く,早期の気胸手術を希望した.入院7日目(妊娠34週)に全身麻酔下で胸腔鏡下手術を施行した.手術は右肺中葉の薄壁ブラを縫縮し終了した.妊娠による分離肺換気への影響が懸念されたが,麻酔管理に問題はなかった.術後7日目に一旦自宅退院し,妊娠36週で問題なく経腟分娩を終えた.妊娠中の気胸は稀であり,特に本症例のような双胎妊婦への手術例は報告が少なく,貴重な症例であるため報告する.