日本臨床外科学会雑誌
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症例
先進部に腫瘍性病変を認めない胃十二指腸重積の1例
松岡 浩平寺岡 均木下 春人庄司 太一大平 雅一
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2025 年 86 巻 10 号 p. 1323-1327

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抄録

症例は92歳,男性.脳梗塞後遺症で施設入所中に腹痛を自覚し,当院に救急搬送となった.腹部CTで門脈ガス像を認めたため緊急入院となった.入院3日後の腹部CTで門脈ガス像は消失したが,偶発的に胃十二指腸重積の所見を認めた.上部消化管内視鏡検査では胃前庭部が十二指腸に重積しており,先進部の粘膜はやや黒色調であったため緊急手術の方針となった.開腹で手術を行い胃前庭部の十二指腸への嵌入を認め,Kocher授動後Hutchinson手技にて整復しえた.胃前壁に小切開を置き重積先進部を確認したが,胃粘膜に鶏卵大の隆起を認めるのみであった.再発のリスクが高いと考え,胃部分切除術を施行した.術中より循環動態は安定せず,術後2日目に死亡退院となった.病理組織学的所見では重積先進部は粘膜下層の浮腫のみであった.今回われわれは,先進部に腫瘍性病変を認めない胃十二指腸重積の1例を経験したので報告する.

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