2025 年 86 巻 10 号 p. 1345-1351
43歳,男性.腹部膨満を主訴に当院を受診.腫瘍性小腸閉塞の診断で第13病日に小腸部分切除を実施.術後,病理組織学的検査によりEwing肉腫(Ewing sarcoma,以下ES)の診断となった.術後1カ月で腹膜播種を発症,腫瘍が14×8cm程度に増大し腹部膨満が出現.化学放射線治療を推奨したが,患者希望により対症療法のみとなった.播種巣に対し緩和的放射線照射を実施したところ,腫瘍は著明に縮小し,術後6カ月経過した現在も生存,外来通院中である.本症例は,小腸閉塞を契機に発見された空腸原発ESであった.ESは小児から若年者の骨軟部組織に発症する悪性腫瘍であり,腹腔内臓器原発は稀である.本邦での報告では,medical onlineで検索した限りでは,本症例を含め13例のみであった.また本症例は,放射線照射が腹膜播種に奏効した初めての報告であり,文献的考察を加えて報告する.