2025 年 86 巻 3 号 p. 444-449
症例は86歳,男性.10年前より右鼠径部に立位にて出現する手拳大の膨隆を認めていた.尿閉に対し当院泌尿器科で経過観察中に右鼠径ヘルニアを指摘され,精査加療目的に当科に紹介となった.腹部CTでは右鼠径部にヘルニア門を認め,盲腸と回腸末端を内容物とするヘルニア囊が鼠径管方向と外腹斜筋腹側を頭側方向に進展していた.ヘルニア囊の形態から鼠径部interparietal herniaと診断し,腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術を施行した.手術所見として,右鼠径部に3cm大のヘルニア門を認め,ヘルニア囊内に盲腸が迷入していた.ヘルニア囊は内鼠径輪から鼠径管方向と頭側方向の2方向へ進展していた.術後は合併症なく,術翌日に退院となった.術後3カ月が経過した現在,ヘルニア再発は認めていない.今回われわれは,術前に診断し腹腔鏡下に修復しえた鼠径部interparietal herniaの1例を経験したので報告する.