日本臨床外科学会雑誌
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症例
術中所見から化膿性脊椎炎の波及によると考えられた膿胸の1例
岡田 啓史藤﨑 成至三隅 俊博和田 幸之大石 幸一福田 敏勝
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2025 年 86 巻 5 号 p. 605-609

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抄録

症例は膀胱癌加療後,糖尿病治療中の76歳,男性.右側胸部痛,後頸部痛,発熱を主訴に当院を受診した.精査の結果,頸部膿瘍,右胸膜炎が疑われ,入院となった.入院時の血液検査では炎症反応が上昇しており,血液培養ではメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)陽性であった.抗菌薬加療を行ったが,第6病日に画像上胸水が増量しており,膿胸と診断され,胸腔ドレナージを施行した.第8病日に胸腔鏡下膿胸腔掻爬術を施行した.術前には指摘できなかった第6,第7胸椎右前面の膿瘍腔があり,手術所見から化膿性脊椎炎の胸腔内穿破による膿胸と診断した.術後炎症反応は改善傾向であり,術後15日目に退院した.

化膿性脊椎炎が胸腔内に穿破し,急性膿胸をきたす症例は今までにほとんど報告されていない.本症例では胸椎前面の膿瘍腔が発症早期の画像所見から確認でき,化膿性脊椎炎の炎症が胸腔内に波及穿破したと考える.治療においてはドレナージが重要であり,効果的なドレナージが可能となる胸腔鏡下膿胸腔掻爬術が早期の治癒に寄与すると考える.

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