2025 年 86 巻 5 号 p. 625-631
症例は28歳,男性.下痢および腹痛を主訴に当院を受診し,急性虫垂炎と診断され,同日中に緊急手術を施行した.術後に腹部膨満が改善せず,術後8日目に腸閉塞の診断でイレウス管を挿入した.その後,腸閉塞は改善したものの,炎症反応が増悪し,術後15日目の腹部造影CTにて回盲部膿瘍を認めた.保存治療では改善せず,第24病日に再手術を施行した.膿瘍腔と盲腸断端に交通を認め,盲腸切離端の破綻による穿孔と診断し,洗浄ドレナージおよび回盲部切除術を行った.術後経過は良好で,初回手術後34日目に退院となったが,退院2日後に下痢および腹痛で再受診した.腹部造影CTにて結腸に広範な浮腫を認め,大腸内視鏡検査でアメーバ腸炎が疑われた.病理組織検査にてアメーバ虫体が確認され,メトロニダゾール治療を施行した結果,症状は速やかに改善した.術後標本からもアメーバが検出され,アメーバ性虫垂炎と診断されたため,文献的考察を加えて報告する.