2025 年 86 巻 5 号 p. 659-662
Xanthogranulomatous inflammation (XGI) は,脂質を含む泡沫状の組織球を伴う炎症性肉芽腫であり,胆囊や腎臓に多く見られる.本症例では,胃癌術後の91歳女性患者が左側腹部違和感を主訴に来院し,CTで大網に結節が発見され腹膜播種再発の可能性が疑われたが,高齢で抗癌剤加療の適応はないと判断し,症状緩和のため手術を施行した.手術は開腹で大網に存在する結節を大網から部分切除し終了した.病理所見は幼弱な線維化が生じた組織で,組織球の集簇や異物型巨細胞と膿瘍を認め,XGIの診断であった.XGIの発生機序は不明で,脂質輸送障害,免疫学的障害,低病原性生物による感染,特異的感染因子に対する反応,リンパ管閉塞等,様々な機序が提唱されている.本症例においては,胃癌手術時の縫合不全が局所的な炎症を引き起こしXGIの形成に関与した可能性がある.大網に発生した稀なXGIについて文献的考察を交えて報告する.