日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復後の腹膜縫合部離開による絞扼性腸閉塞の1例
佐々木 拓馬大塚 吉郎佐々木 欣郎松原 久裕
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2025 年 86 巻 6 号 p. 823-828

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抄録

症例は91歳,男性.左外鼠径ヘルニアに対して腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(TAPP)を施行した.術後4日目に腹部膨満が出現し嘔吐も頻回となり,緊急入院となった.CT所見で小腸の著明な拡張とTAPPにより変位した腹膜外に小腸の脱出が認められ,TAPPの腹膜縫合部離開による腸閉塞を疑った.腹部膨満が顕著で嘔吐を繰り返すため,イレウス管による減圧後に腹腔鏡手術を施行した.左下腹部のTAPP手術部位に癒着した小腸を剥離したところ,腹膜縫合部が離開して小腸が腹膜前腔へ嵌頓しており,絞扼部が穿孔していた.腹膜前腔と腹腔内の汚染が軽微であったため小腸を切除した後に多量の生食で洗浄し,癒着防止フィルム付きのメッシュを用いて腹膜裂孔部を閉鎖した.TAPP術後の腹膜縫合部の離開に起因する腸閉塞症例の報告は少なく,腸管の穿孔を合併した例はまれである.文献的考察を加え報告する.

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