2026 年 87 巻 4 号 p. 426-431
症例は82歳,男性.食道癌に対し前医で内視鏡的粘膜下層剥離術を施行された.1年後の胸部CTで左肺門部に3.2cm大の充実型腫瘤を,さらに左肺S6に1.2cm大の充実型結節を認めて当院に紹介となった.気管支鏡下針生検で肺門部腫瘤は扁平上皮癌の診断に至るも,再発食道癌と原発性肺癌との鑑別が困難であり手術を施行した.S6病変に対し胸腔鏡下左下葉部分切除を施行し,術中迅速組織診で扁平上皮癌との診断であった.また,肺門部腫瘤は肺内病変であった.食道癌の進行度と臨床所見を考慮し,肺門部肺扁平上皮癌の可能性が高いと考えて左下葉切除を施行した.最終診断は左下葉肺扁平上皮癌pT3(pm1)N1M0,Stage IIIA.肺扁平上皮癌と食道癌の肺転移とは鑑別に苦慮することがある.オリゴ転移であれば外科的切除で予後改善が期待できるため,転移が鑑別に挙がる状況でも,耐術能や侵襲度を加味し外科的切除は十分に検討されるべきである.