2007 年 57 巻 2 号 p. 94-109
ゲノム医学と鍼灸の意外な共通点は、「DNA」や「気」という一つの概念で説明しようとする指向である。「画一的治療の西洋医学の欠点」に対して「鍼灸の優位性は、個々の体質に合わせた治療」にあると教えられ、「未病を治する」とも謳われてきた。しかし、「オーダーメード医療」や「予防医学」はゲノム医療の目標となり、鍼灸だけの特徴ではなくなった。
本稿では、まずオーダーメード医療に向けた動向、ゲノム情報の再構成と医療応用、などを紹介し、最後にゲノム科学の切り口で鍼灸を解析する意義と研究成果を紹介する。なお特別講演内容はPhysiological Genomics誌に受理掲載されており、本稿には論文データの一部を追加した。
「諸学の統一は、自ら諸学を学び統一するのが最も確実な方法である。」(科学への挑戦(徳間書店):竹内均&梅原猛より)