全日本鍼灸学会雑誌
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シンポジウム
鍼灸所見の臨床的意義と客観化
―六部定位の脈診について―
川喜田 健司藤木 実小川 卓良木戸 正雄丸山 満也智原 栄一
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キーワード: 脈診法, 圧脈波, 客観性, 信頼性
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2007 年 57 巻 2 号 p. 110-123

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抄録

本シンポジウムでは、手首の橈骨動脈の脈状から内臓臓器の機能を知るということは可能かという設問に対して、さまざまな立場の専門家が見解を述べた。小川は脈診の臨床的意義を明らかにするためには、脈診の診断法としての再現性と、その証に基づく治療が臨床医学的観点からより有効であることの証明が必要とした。木戸は脈診トレーニング法を紹介し、それに基づく臨床試験の試みから、脈診の診断・治療上の意義を明らかにした。丸山は、圧センサを用いた脈波情報の計測と数値モデル解析による脈診の客観化の試みを紹介し、その限界とともに将来の客観化の可能性に言及した。智原は、脈診で用いられる橈骨動脈で検出される圧脈波のもつ意味について、病態生理学的観点を交えてさまざまな可能性を示し、その情報が全身状態を反映する可能性を認めながらも、その対応は1 : 1ではないことを指摘した。最後に脈診に関する実験的検討の必要性が確認された。

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© 2007 社団法人 全日本鍼灸学会
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