全日本鍼灸学会雑誌
Online ISSN : 1882-661X
Print ISSN : 0285-9955
ISSN-L : 0285-9955
原著
鍼通電療法が脳卒中患者の血管弾性に与える影響
岩元 英輔村瀬 健太郎谷之口 真知子本石 希美
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 62 巻 3 号 p. 216-225

詳細
抄録
【目的】高齢化社会が進む本邦において、 動脈硬化性疾患に対する鍼灸治療の位置付けを模索することは重要な意義があると思われる。 今回われわれは、 動脈硬化指標である脈波伝播速度 (Pulse Wave Velocity: PWV) を用いて、 薬剤とリハビリテーション、 鍼通電療法の併用が脳血栓、 脳塞栓、 脳出血患者の血管弾性に与える影響を検討したので報告する。
【方法】対象は同意の得られた初発脳卒中患者210症例を、 病型ごとに薬物療法のみ実施する薬剤群、 薬物療法とリハビリテーションを実施するリハ群、 薬物療法、 リハビリテーションと麻痺側の手三里穴 (LI10) と合谷穴 (LI4)、 足三里穴 (ST36) と三陰交穴 (SP6) への鍼通電療法を実施する鍼通電群に無作為に割付けた。 内訳は脳血栓患者81例 (薬剤群25例、 リハ群28例、 鍼通電群28例)、 脳塞栓患者68例 (薬剤群24例、 リハ群20例、 鍼通電群24例)、 脳出血患者61例 (薬剤群20例、 リハ群21例、 鍼通電群20例)であった。 評価方法は発症2ヵ月時、 4ヵ月時、 6ヵ月時に血管弾性値、 血管狭窄度、 血圧、 心拍数を血圧脈波検査装置にて計測した。
【結果】脳血栓の血管弾性値を、 薬剤群、 リハ群、 鍼通電群の3群間で比較した結果、 発症2ヵ月時、 4ヵ月時に有意差を認めなかったが、 6ヵ月時は薬剤群に対し、 リハ群 (p<0.05) と鍼通電群 (p<0.01) に有意な低値を認めた。 しかし血管狭窄度、 血圧、 心拍数は有意差を認めなかった。 脳塞栓と脳出血では、 いずれの期間も4項目に有意差を認めなかった。
【結語】脳血栓、 脳塞栓、 脳出血の患者を対象に、 薬剤、 リハビリテーションに鍼通電療法を併用した影響をPWVにて検討した。 その結果、 脳血栓患者に対する鍼通電療法の併用がより有意に血管弾性値を低下させた。 これより鍼通電療法の併用は、 脳血栓の発症や再発リスクを軽減させることが示唆された。
著者関連情報
© 2012 社団法人 全日本鍼灸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top