全日本鍼灸学会雑誌
Online ISSN : 1882-661X
Print ISSN : 0285-9955
ISSN-L : 0285-9955
原著
下肢部のむくみに対する円皮鍼と圧迫施術の比較
池上 典子久下 浩史辻 涼太尾﨑 朋文
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 71 巻 1 号 p. 13-20

詳細
抄録

【目的】著者らはむくみ尺度を用いて円皮鍼と圧迫施術の効果を比較した。 【方法】本研究について説明と同意を得た性別が女性、職業が学生等20名、平均年齢 39.0 歳(標準偏差: 11.2)とした。対象者は、円皮鍼施術を行う群(円皮鍼群)12名、圧迫施術をする群(圧迫群)8名とした。本研究は、森ノ宮医療大学倫理審査会承認後に行った。治療は、円皮鍼群がパイオネックス0.9㎜、圧迫群がパイオネックスゼロ0.3㎜(非侵襲式)のセイリン株式会社製を用いた。部位は、左右の陰陵泉穴(SP9)、地機穴(SP8)、三陰交穴(SP6)で行った。治療期間は、7日間(1回/2日、合計3回)行った。手順は、何も行わない7日間(Pre)、介入する7日間(Stim)、介入後何もしない7日(Post)で評価した。評価は、著者らが作成したむくみ尺度、むくみのVAS(Visual Analog Scale)、左右の内果尖上方9㎝の周径(足首周径)とした。解析は、円皮鍼群、圧迫群の経時的変化を混合モデルによる多重比較(Fisher LSD)した。円皮鍼群と圧迫群の比較は、経時的変化の間を混合モデルによる二元配置分散分析で行った。本研究の利益相反は、使用したパイオネックスについてセイリン株式会社から援助を得た。 【結果】円皮鍼群は、Pre14.5点に比べてStim9.9点でむくみ尺度が下がった。圧迫群は、Pre12.4点に比べてStim7.6点でむくみ尺度が下がった。むくみのVASは円皮鍼群の変化がなかった。圧迫群は、Pre33.7㎜に比べてPost63.7㎜で数値が上がった。むくみ尺度、VASは、円皮鍼群と圧迫群で交互作用がなかった。 【考察】円皮鍼施術と圧迫施術は、施術中に効果を示すため、継続的な貼布が必要と考えられた。 【結語】円皮鍼施術と圧迫施術の両施術は、施術中に下肢部のむくみ尺度数値を改善させた。

著者関連情報
© 公益社団法人 全日本鍼灸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top