【緒言】本研究は発育期ラット大腿骨を用い、 関節不動化または同期間の鍼通電刺激によって皮質骨に生じた骨構造の違いが、 骨折線の現れ方に与える影響について比較、 検討することを目的とした。 【対象と方法】7週齢のウィスター系雄性ラット42頭を用い、 後肢を不動状態にした群 (IM)、 その不動状態に加え、 鍼通電刺激を施した群 (IMEA) および無処置の対照群 (CO) に分類した。 IMおよびIMEAは、 股関節を伸展位で固定し、 股関節の内転および外転を制限する不動化処置を2週間おこなった。 IMEAには、 さらに大腿部へ鍼を刺入して連続的交流通電刺激をおこなった。 通電刺激は、 低周波刺激装置を用い、 250μsec、 50Hz、 0.24mA (500Ω負荷時) の条件で実験期間中10分/日、 毎日実施した。 摘出した大腿骨は、 支点間距離を10mm、 クロスヘッド速度を10mm/分とする一定の条件下で、 骨幹部または骨幹端部の前方からThree-point-bending法にて破断した。 【結果】IMはCOよりもStiffness値、 Deformation値、 Strength値が有意に低値を示した。 骨形態計測のパラメータにおいてもIMが低値であった。 COおよびIMEAに層板骨と層板構造をもたない骨との境に接合線を認めたが、 IMは不明瞭であった。 COおよびIMEAの骨幹部には内・外環状層板に挟まれた深部に微細な骨片が形成されていたが、 IMではそのような骨片は認めなかった。 IMEAはIMに比べて吸収窩が少なく、 層板骨が維持されておりCOと構造が類似していた。 また、 COおよびIMEAでみられた亀裂は、 接合線または休止線の近傍で骨長軸方向へ走行していたが、 IMではそのような亀裂を認めなかった。 【考察】不動化によって生じるラット大腿骨の脆弱化は鍼通電刺激によって抑制され、 このことが骨折線の現れ方に影響することが示唆された。