2023 年 73 巻 2 号 p. 136-142
【目的】片頭痛の改善を目的とした鍼治療に、 併存したドライアイへの治療を併用したことで、 良好な経過が得られた症例を報告する。 【症例】59歳女性、 身長156cm、 体重49kg、 BMI20.1、 血圧122/69mmHg、 脈拍70回/分 (整脈)。 職業は事務職。 主訴は頭痛。 【現病歴】X-10年頃、 片頭痛と診断。 X年10月から頭痛が増悪。 同年12月に本学東西医学統合医療センター脳神経内科を受診し、 鍼治療を開始。 【既往歴】X-10年頃、 眼科にてドライアイと診断、 治療を継続中。 【現症】生あくびなどの予兆の後に、 ズキズキとした痛みが右こめかみから右前頭部および右頭頂部に広がる。 嘔吐を伴うこともある。 ナラトリプタン塩酸塩錠を頓服している。 【推定病態】前兆のない片頭痛【評価】日本語版Headache Impact Test (HIT-6)、 頭痛ダイアリー (頭痛頻度、 服薬頻度)、 Ocular Surface Disease Index (OSDI)【治療】片頭痛に対し、 後頚部圧痛点への刺鍼と後頭部C2末梢神経野鍼通電療法を行った。 44週目からドライアイに対し、 眼窩周囲の鍼施術と自宅でのセルフケアを追加した。 【経過】初診時HIT-6は65点、 12週目には48点に改善した。 その後、 休診期間等で治療間隔が空いたことで、 40週目は60点と増悪した。 鍼治療の再開で、 44週目は50点と改善した。 その後、 ドライアイへの鍼治療とセルフケアを追加し、 鍼治療の頻度を月1回に減らしたが、 52週目HIT-6は50点、 56週目で48点と頭痛の改善は維持された。 また52週目、 56週目で直近4週間のナラトリプタン塩酸塩錠の服薬は無かった。 ドライアイ症状は、 OSDIが44週目47.8点から48週目37.5点に改善した。 【考察】ドライアイ症状の改善により中枢への刺激が減少することで、 中枢性感作の緩和が持続し、 片頭痛の症状の安定化に好影響を及ぼした可能性がある。