国際疼痛学会において2020年に改訂された痛みの定義では、 「実際の組織損傷もしくは組織損傷が起こりうる状態に付随する、 あるいはそれに似た、 感覚かつ情動の不快な体験」 としており、 明らかな痛みの原因が同定されなくとも、 それに類似した感覚かつ情動の不快な体験が発生する可能性を示唆している。 痛みは様々な観点から分類されており、 時間軸から急性痛、 亜急性(期)痛、 慢性(疼)痛に、 疾患別にはがんに直接起因する疼痛、 とそれ以外の疾患に伴う疼痛に、 機序別には侵害受容性疼痛 (Nociceptive pain) と神経障害性疼痛 (Neuropathic pain)、 さらに近年では痛覚変調性疼痛 (Nociplastic pain) の3つに区分される。 また、 WHO新国際疾病分類においては 「慢性疼痛」 という独立したカテゴリーが作成されおり、 3ヶ月以上継続または繰り返す痛みを慢性疼痛としている。 長引く痛みは心身の疲弊を招き生活の質の低下につながるため、 慢性疼痛患者に対しては心身両面からのアプローチの必要性が唱えられている。 そのため慢性疼痛においては多面的に評価することが有用である。 本邦においても、 様々な疼痛緩和に関するガイドラインが各学会や厚労省の慢性の痛み政策研究事業による研究班から発行されており、 エビデンスに基づいた治療を行うための指標となっている。 慢性疼痛は、 個々の患者の生活の質を低下させ、 本邦における社会的損失も大きいことから、 今後も立ち向かうべき課題である。